先日、帰宅ラッシュ時の電車の中で若い女性が1人で涙を堪えている姿を見かけました。
何か会社で嫌なことあったのかな。
彼氏とケンカしたのかな。
生きることが苦しくなってしまったのかな。
色んなことを思う内に、その女性は、とある駅で電車を降りていきました。
しかし、私、電車の中で泣いている人や涙を堪えている人に遭遇する率多し、です。
どうしても見つけてしまうんだと思います。
何年も前のエピソードですが、当時長く付き合っていた彼氏に「他に好きな人ができたから別れよう」と言われ、仕事も毎日大変忙しく(プレッシャーや重圧で相当苦しい時期でした)、自分を見失っていた時期があったのです。
周りの友達が、知らない人が、みんなみんな幸せそうに見えました。
心にポッカリ穴が開いていて、「誰も私のことを知らない場所に行きたい」と本気で考えていました。
友達と遊びの約束をするのも何だか乗り気になれなくて、大好きな飲み会にも行く気になれなくて、仕事以外はほぼ引きこもりのような状態でした。
そんなとき、仕事でちょっとミスをした日があり、職場では気丈に振る舞っていたものの、帰宅途中の電車の中で涙がポロッとこぼれ落ちたことがあります。
周囲の人に気付かれないように、あくびをするフリなどをして必死に誤魔化していたのですが(笑)、そんな誤魔化しが効かないくらいに目がどんどん滲んでいきました。
すると、見知らぬおばあちゃんがそっとポケットティッシュを膝の上に置いてくれたのです。
「若い内は色々あるわよね」
そんなことを小声で言われたような気がしますが、はっきりとは聞き取れませんでした。
そしてそのお婆ちゃんは電車を降りていったのですが、そのティッシュが何だかとても嬉しくて余計に涙がでました……
お礼も言えませんでした。どこの人かもわかりません。しかし、「こんな私を励ましてくれてありがとう」と温かい気持ちになったのは事実です。
とても気持ちが楽になりました。
***
その経験があって、電車で涙を堪えている人をみると過去の自分を投影してしまうのだと思います。
「きっとあの人に良いことが起こりますように」そう願わずにはいられないのです。
あのおばあちゃんのように、そっとティッシュを差し出せるくらい素敵な人になりたいと思うのですが、なかなか勇気が要りますね。
しかし、あのおばあちゃんからもらった『優しさという愛情』をいつか誰かに渡せれば良いなぁと思います。
人は、自分が誰かに愛してもらったやり方で、また誰かを愛そうと思うものです。
例えば…
●小さい頃、夜なかなか寝付くことができなくて、親に背中をさすってもらった。
⇒誰かが不安でいっぱいの時は背中をさすってあげる
●失恋したとき、友達が一緒に泣いてくれた。
⇒友達が失恋して苦しいときは、私が一緒に泣いてあげる
●落ち込んでいるときにパートナーがそっと肩をかしてくれた
⇒何かあった時は私がそっと肩をかしてあげたい
このように、あなたが自然と身につけてやっていることは、誰かからの愛情を受けたからそのやり方を知っているのかもしれません。
ご自身が誰かに背中をさすってもらって楽になった経験がないと、自分の子供が泣いているときに背中をさすってあげようとは思いませんね。
意識していないところで、誰かの愛情ってどんどんと伝わっていっているのです。
あなたが意識せずにやっていることは、一体誰からもらった愛情なんでしょうね。
もしかすると、許せない人からもらっていた愛情、なんてこともあり得ます。愛情をもらっていたんだから「許せ!」なんて言わないです。
でも、確かに、そこに愛情があったのかもしれないですね。
私はあのおばあちゃんから、『優しさという愛し方』を教えてもらった気がします。
あの出来事を思い出すと、いつも心が温かくなります。
あぁ、いつまでもお元気で、たくさん笑っていらっしゃることを願いながら。
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